新田均のコラムブログです


by nitta_hitoshi
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2012年 05月 29日 ( 1 )

③容易に反駁できる粗雑な論理(1)

 天照大神とスサノオノミコトの「誓約」について、高森さんは新著『歴史で読み解く女性天皇』の中で次のように書いていました。

「面白いのは、ストーリーの中では皇室の血統につながる天のオシホミミの命は、直接には天照大神の弟のスサノオの命が、天照大神の玉飾りを受けとり、それによって出現させたことになっている。だから、そのままでは「スサノオの命→天のオシホミミの命→皇室の血統」となって、男性神のスサノオの命が皇室の祖先神になるところだ。
ところが、天のオシホミミの命は、天照大神の玉飾りから出現したからーとの理由で、天照大神の子と位置づけ直されている。物語の上では、男性神が祖先神となっても不思議ではない展開なのに、それをあえて変更して、わざわざ女性神に置き換えている。
これは何を意味するか。
皇室の祖先神イコール天照大神という捉え方が、古くから動かしがたいものとして定着していたということだ。ストーリーの必要から、直接にはスサノオの命が天のオシホミミの命を現れさせる役割を担ったとしても、結論は、天照大神を皇室の祖先神とする伝統的な観念から、逸脱するわけにはいかなかったのである。」(75頁)

この屁理屈に関しては、次のような反駁が可能です。

皇室の祖先神イコール天照大神という捉え方が、古くから動かしがたいものとして定着していたとすれば、天照大神が天のオシホミミの命を生んだという伝えが一つくらい記録されていてもおかしくない。ところが、そのような伝えは一つもなく、オシホミミの命は、天照大神の玉飾りから出現したからとの理由で、天照大神の子と位置づけ直されている。物実の交換という不自然な理由を持ち出さなければオシホミミの命を天照大神の子とすることができなかったのは、オシホミミの命はスサノオの命が生んだ子だという捉え方が古くから動かしがたいものとして定着していて、その伝統的な観念から逸脱するわけにはいかなかったのである。
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by nitta_hitoshi | 2012-05-29 20:47 | 女系天皇(主に高森さんへの問い)