人気ブログランキング |

新田均のコラムブログです


by nitta_hitoshi
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31

2007年 01月 14日 ( 1 )

 今月[平成16年1月]八日の本紙を見ていたら、「ただ一人の島守」と題し、玄界灘の孤島、沖ノ島で、十日交代で宗像の神を祭っている若い神職(二七)が紹介されている記事が目に止まった。地元の漁師から「宗像先生」と呼ばれて尊敬されているという。

 “若いのに立派な神主もいるものだ”と思いながら読んでいくと、「皇學館大学卒、長野県出身」。“あれ、うちの出身者だ。その上、私と同郷だ。まてよ”と思って名前を確認してみると、元の指導学生で、私が野球部の顧問をしていたとき部員だった学生であることを思い出した。

 その彼が、縄文時代以来の祭祀遺跡が存在し、「神話そのもの」とも言える孤島、密入国者が上陸することもあるという国境の島で、ただ一人、島守と防人とを兼ねながら、台風の時も吹雪の時も海で禊をする、という生活を続けているらしい。

年始に里帰りして、暖衣飽食の休暇を過ごし、まだおとそ気分も抜けないままに新聞を読んでいた私は、頭に冷水を浴びせられたような気持ちになった。

そう言えば、安定思考の仲間達にまじって、神職を志す学生の中には、祖先が伝えてきた祭りを守るために、あえて離島などに行くことを希望する者が時々いる。ある学生に、「この前、西郷隆盛について講演しに鹿児島へ行って来たよ」と話したら、「そうですか。実は、ボクの祖父の家は、西郷さんが島流しになっていた沖永良部なんです。西郷さんが牢屋に閉じこめられている様子が像になっていますよ。ボクは将来、そこに行って神主をしようと思っているんです」。祖父の後を継ぐために離島へ行く。これに似たような話は、他の学生からも聞かされたことがある。

 全国神社の大多数は、神主が何人もいるような大社ではない。むしろ、一人の神主が何社も兼務していたり、他の職業につきながら祭祀を維持している小さな神社が大多数だ。だから、“都会で、収入が安定していて・・・”などという考えの若者ばかりになれば、大多数の神社は滅んでしまう。

 そうならないように、神を敬い、祖先を尊び、奉仕の精神に富んだ若者を育てる。そのために教育に従事しているわけだが、実際に、そのような人生を選択する若者を目の当たりにすると、頭の下がる思いになる。心底「偉い」と思う。「彼らの選択に恥じないように、自らも励まなければ」と、新年の思いを新たにした。
by nitta_hitoshi | 2007-01-14 09:04 | 心のシンフォニー