新田均のコラムブログです


by nitta_hitoshi
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日本創業の原点・神武天皇(4)

(平成12年10月7日、第十五回歴史体験セミナー、研修Ⅰ)


(4)国土の生成と地上秩序形成の失敗

 『日本書紀』の記述によれば、まず天と地が分かれます。そして天と地が分かれた後、クニノトコタチノ尊からイザナギノ尊、イザナミノ尊の誕生まで神代七世という神様が生まれます。その次に大八洲(おおやしま)の誕生、すなわち日本列島が生まれます。さらに、海、川、山、木の神、草の神が誕生する。この海は、日本の内海を指しているそうですが、そのようにして先ず、神々と国土が誕生するわけです。

 そして、この国生みの後にイザナギノ尊とイザナミノ尊は「天下の主(あめのしたのきみ)たる者」を生む試みをなされます。渡部昇一氏は日本人の世界観は天、地、地下の三層構造になっていると書かれていますが、高天原(たかまのはら)があり、葦原中国(あしはらのなかつく)、すなわち日本国があり、その下に根国(ねのくに)があるというふうになっているわけです。それで国生みの後に天の下、すなわち葦原中国、この地上の中心者を生もうとされるわけでますが、これは何故か失敗します。

 最初に生まれたのが日神オオヒルメノムチ、すなわち、天照大神でこの神様は素晴らしすぎて、高天原を治めることになります。次の月神ツクヨミノ尊も天を治めることになります。次に生まれた蛭子はいくら年月がたっても足がたたず流されてしまいます。最後に生まれたスサノオノ尊は乱暴者でとてもこの国の主にはなれないということで根国にいけと命令されてしまいます。

 面白いことに、日本の国家秩序が整うまでには、神々の試みにも何回も挫折失敗があるわけですが、これが第一回目の挫折です。この挫折の後、神話の舞台は天上界の高天原に移っていきます。公共秩序の形成という観点からこの物語の展開を眺めると、地上(現実)の秩序を創出しようとする場合に、地上(現実)から手を付けてもダメで、天上(理念、精神、心)の世界の形成から始めなければならない、と語っているような気がします。(つづく)
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by nitta_hitoshi | 2006-11-02 08:55 | 講演