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新田均のコラムブログです


by nitta_hitoshi
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憂慮に耐えない三重県の男女共同参画推進条例

(平成12年6月、「産経新聞」アピール欄への投稿)


 現在、三重県では「三重県男女共同参画推進条例(仮称)」の制定が急ピッチで進められている。この背景には、本年十一月に津市で開催が予定されている日本女性会議の全国大会にこの条例の制定を間に合わせて“手土産”代わりにすると同時に、全国の手本となるものを作って男女共同参画先進県ということで三重県を全国にアピールしたいという県の思惑があるようだ。ところが、公聴会において県民に提示された「中間報告」は憂慮に耐えないものだった。

 最大の問題点は、東京都などの先行する条例が「固定的な役割の強制」を否定して男女の機会均等を意図しているのに対して、三重県の条例は「基本目標」において男女の固定的な役割分担「意識の是正」を意図していることである。これを受けて「県民は、性別による差別意識や固定的な役割分担意識を見直し、男女が共同参画することに価値を見出すよう努めなければならない」と規定されることになるらしい。「制度」ばかりか「意識」の是正までも条例で行おうすることは、明らかに全県民に一定の思想内容を強制するものである。何故なら、個人の自由な思索の結果として、「男女にはそれぞれの『らしさ』があり、その『らしさ』に相応しい役割分担があってもいい」と考えらることさえも是正の対象とされてしまう可能性があるからだ。

さらに、三重の条例には罰則規定を盛り込むことも検討されているらしい。それがどのような内容になるのかついては未だ県民には明示されていないが、もし実現すれば、男女共同参画社会形成の責務を有する主体の一つに指定されている民間の「事業者」に深刻な打撃を与える可能性がある。無理な基準を提示され、しかもそれを達成できなければ罰せられるというようなことにでもなれば、経営不振に陥ったり、三重県から撤退する企業が続出するのではあるまいか。

教育行政に関してはようやく従来の負の遺産を清算しつつある三重県だが、ここでまた新たな負債を背負い込むことになるのではないかと危惧される。
by nitta_hitoshi | 2006-10-13 20:27 | 不掲載・未発表