新田均のコラムブログです


by nitta_hitoshi
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三重の教育正常化運動ー私たちの考え方ー(2) (『史』平成12年3月号)


 《人事権の掌握》

三教組の強さの秘密の第二は、教育委員会との間でさまざまな「申し合わせ事項」や「慣行」を作り上げることによって、実質的に人事権を掌握してきたことにある(むろん、これは地方公務員法違反である)。

 例えば、「同一校三年以内の勤務および五五才以上の教員は異動無し」「同一校三~七年勤務の者の異動には本人の同意を要する」(高校)などいった申し合わせ事項や、「異動の希望や内示に対する苦情は組合が集約して教育事務所と交渉する」といった慣行によって、三教組は、組合員の教師を「ぬるま湯づけ」にしてきた。

 他方で「教頭の人事は現場教員の推薦によって行う」といった慣行を定着させて、組合員以外の教師は「一生ヒラ」の状態におき、組合に媚びを売る者しか昇進出来ないようにしてきた。まさに「飴と鞭」である。『正論』(平成十一年十月号)で三教組批判を行った渡邊毅氏は非組合員である。彼は障害児教育で素晴らしい成果を上げ、それは三教組でさえ認めるところであるが、それでも三重県では「一生ヒラ」を運命づけられている。採用時に組合加入を拒否した時点で、彼はそのことを覚悟していたという。

 私たちが問題にした勤務評定「オールB・開示」は、実は、この点に大きく関係している。つまり、勤務評定一律「オールB・開示」ということは、正規の勤務については何ら評価がなされず、人事や給与にも反映されないにもかかわらず、その裏側では、組合活動に対する忠誠の程度によって、しっかりと査定が行われているということなのである。

 組合のもっている人事上の特権の一つに、教科書採択委員がある。現在三重県では九つの採択ブロックのうち八つのブロックで「大阪書籍」の社会科教科書が採択されているが、この採択を実質的に行っているのが三教組の幹部であるらしいことが、情報公開によって開示された資料から判明しつつある。

 このような三教組による人事介入は、すでに県議会で問題とされ、中林県教育長はその是正を明言した。しかし、「申し合わせ事項」や「慣行」の全体像が依然として不明であるため、どの程度の是正が行われるのかもまた、不明確である。したがって、私たちは是正の前提として、これに関する全般的な調査と情報の公開を要望していきたいと考えている。

 《研修権の掌握》

 三教組の強さの秘密の第三は、教員研修を完全に支配していることである。ある三教組支部の資料によれば、教育委員会が行う研修は「官制研」と呼ばれ、これについては三教組と県教委との間で「事前協議で基本的合意を得て開催する」申し合わせになっている。要するに「県教委は三教組の意向に添った研修しか行うことが出来ない」のである。

 またこれとは別に、三教組は、校内研修、地域研修、全県研修、全国研修と、どこまでいっても教員が三教組の思想圏から出られないように閉鎖的な研修体制を敷いている。例えば、地域研修についていえば、教育研究会や教育研究協議会といった組織をつくり、そこに校長会や教頭会ばかりでなく、市町村まで巻き込むことによって排他的な研修体制を構築しているのである。職員団体は研修に関して法的には何ら特権を与えられていない。にもかかわらず、公的機関を巻き込むことによって、独善的な研修体制を構築し、採用から停年まで、教師を思想的に「三教組サティアン」の中から一歩も出られないようにし、マインド・コントロールしてきたのである。

 研修の問題については、ようやく県教委が「問題あり」と認めた段階で、まだ、改革の目途はたっていない。これについては、今後、県民の問題意識を高めていきたいと思う。

 要するに、私たちがやろうとしていることは、「教育界において、法がそのまま実行される状態にする」という一語に尽きる。回り道のように見えるかもしれないが、「良い果実を得るためには良い樹木を育てねばならない」というのが、私たちの基本的な考え方である。教育に関する様々な「法」が遵守されるようになれば、その時こそ、三重県でも新しい歴史教科書が採択される可能性が生まれる、と私たちは考えているのである。(了)
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by nitta_hitoshi | 2006-10-07 15:33 | 雑誌