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新田均のコラムブログです


by nitta_hitoshi
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揺らぎ始めた“日教組王国”(5)(『正論』平成12年2月号)


 さらに、日本会議三重は、十二月九日に三重県選出の国会議員に対して陳情を行うことを予定しているという。陳情の内容は、県教育長宛の要望書とほとんど同じだが、やはり国会議員ということで、ただ一つ付け加えるそうである。それは、公立学校の教師に「公務員としての自覚」を持たせる教育を行うように、文部省に働きかけてもらいたいということである。まだ原案の段階だが「要望書」には次のような内容が盛られる予定であるという。

前述のような問題が発生する根本原因は、公立学校の教員に「自分は公務員である」との自覚、「公務員とは如何にあるべきか」という認識が欠如していることにあります。したがって、教員養成課程において、教育内容や教育方法のみが教えられて、肝心の公務員としての自覚を養う教育がおろそかにされている現状に鑑み、教員養成課程に公務員としての自覚を与える教科を組み込み、既に教員になっている者に対しては、再教育を施すように、文部省に働きかけていただきたいと存じます。

「要望書」に「公務員としての自覚を養う教育」を盛り込んだのは、三重県の新採用の教員の中には、「日教組を公共団体だと思っている者がいる」という笑えぬ現実があるからだ。果たして、国会議員は、動いてくれるだろうか。文部省はどう対応はしてくれるのだろうか。

 日本会議三重が陳情書の提出を決めた翌日(十二月三日)、「三重タイムズ」という地方紙(県庁所在地の津を中心に約七万部を発行。「中日新聞」の折り込み新聞)が、独自の取材により、勤務時間中の組合活動の実態を明らかにした画期的な記事を一面トップで掲載した。
 まず、三教組津支部の中村正彦書記長が「学校現場の理解を得て活動しているが、申し訳ないと思っている。法的には公務中であり違法行為と指摘されてもやむを得ないと思う。その点の批判は受けたいとおもう」と「不正」であることを組合幹部自身が認めているのは画期的である。

 次に、ある学校長は、記者の勤務時間中は学校にいて、職務に専念するのが普通ではないのか、学校にいるように指示、命令できないのかとの質問に対して、「理屈の上ではできる。しかしこれまでの流れがある」と泣き言を述べて、学校が無法地帯と化していることを告白している。

 さらに、津市の田中彌教育長は「なぜこうなったのかについては、三教組と県教育委員会との暗黙の了解があったのではないかと思う」と、密約の存在を暗示するような発言まで行っている。この記事のもっとも面白いところは、同じ公務員である津市役所職員組合の役員・執行委員らの勤務中の組合活動が「地方公務員法に定められた事項(勤務条件事案)での当局側との交渉に限られている」ことを指摘して、三教組の組合活動が如何に突出したものであるかを浮かび上がらせている点だ。この記事に対しては、多数の市民から支持の声が新聞社に寄せられ、新聞自体もあっと言う間に売り切れたという。(つづく)
by nitta_hitoshi | 2006-10-01 09:44 | 雑誌