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by nitta_hitoshi
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式年遷宮と皇位継承(平成18年2月8日)

 平成25年第62回神宮式年遷宮に向けて、伊勢の町では今年から神宮に御用材を運び込む「お木曳き行事」がはじまります。陸や川を曳かれていく御用材を思い浮かべると、私の頭には同時に明治天皇のお姿が浮かんできます。

 明治37年のことですが、内務大臣芳川顕正と宮内大臣田中光顕は、御用材の確保が困難になったことを理由に、神宮の建築様式を、土中に直接柱を立てる掘立様式から、コンクリートの土台の上に基礎石をおいて柱を立てる様式に変更したい旨を上奏しました。20年毎の御用材の確保が難しくなってきたので、神宮の建築様式をもっと柱が長持ちする近代的なものに変えたい、というわけです。

 しかし、明治天皇はこれをお許しになりませんでした。「材木が足りなくなって来たからといって、その事情に合わせて、神宮の古来の建築様式を改めるのではなく、古来の様式を守る方策を先ず考えるべきだ」とのお考えだったのでしょう。必要な材木の確保の方法を宮内省御料局(後の帝室林野局)に御下問になったのです。こうして、明治39年、長野県の木曽の山に御用材育成のための広大な「神宮備林」が新たに設定されました。平成二十五年の式年遷宮の御用材もそこから切り出されることになっています。

 私がこの明治天皇のご努力を思い出したのには、もう一つ理由があります。昨年11月24日、「皇室典範に関する有識者会議」は、将来の皇位継承を安定的なものにする方策として、初代の神武天皇以来125代・約2千年の間一貫して守られてきた「皇位の男系継承」の大原則を変更して、「女系天皇容認」「長子優先」を原則とする皇室典範の改正を小泉首相に答申しました。私には、それがかつての芳川内相や田中宮相の上奏に重なって見えたのです。

 「男系継承」が古来の大原則とはいえ、それを変えなければ皇室が消えてなくなってしまうというのであれば、それは致し方ないことでしょう。しかし、皇位継承の安定化のためには、まだ別の方策が残されています。敗戦の時に占領軍によって強引に皇族の身分を剥奪された旧宮家の人々に皇族としてお戻りいただくという方法です。この問題についての今上陛下のお考えはどのようなものなのか、私には知る由もありません。ただ、明治天皇のご努力に思いを致すと、「神宮備林の設定」と「旧皇族の復帰」とが、私には本質的なところで繋がっているように思えるのです。
 
by nitta_hitoshi | 2006-09-13 21:34 | 心のシンフォニー