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新田均のコラムブログです


by nitta_hitoshi
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小林よしのり氏“公認”「ゴーマニスト」宣言(22)

ゴーマニスト「降格」準則

10.基本的な定義も理解しないで議論に首を突っ込んだら降格!

 小林さんの
①.「『女系』とは、『天皇の母が天皇』ということだが」(『サピオ』平成21年11月25日号58頁)、
②.「『母が天皇の男子』の、その子は、『父が天皇』なのに女系? その子も、その子もずっと男子が生まれ続けても女系か? そんな馬鹿なことはない。父が天皇なら男系になるのが当然!」(『サピオ』平成21年11月25日号58頁欄外)、
③.「斉明天皇(母)→天智天皇(息子)」「元明天皇(母)→元正天皇(娘)」という「女系もあった」(『WiLL』5月号202頁)、
という記述を読み直して、彼の議論の混乱の原因が分かりました。

 彼は、前天皇が現天皇の母親ならば女系天皇で、父親ならば男系天皇というように、“前天皇と現天皇との血縁関係で男系か女系かが決まる”と考えているのです。

 ということは、彼は、男系・女系の基本概念を全く理解しないで、この問題を論じてきた、ということになります。

 あらためて言うのも恥ずかしいのですが、
①.皇統における「男系」というのは父親だけをたどって行けば天皇に繋がり、結局は神武天皇に行き着くことをいいます。ですから、現天皇の父親が天皇ではなかったとしても、父系をたどって天皇に繋がるならば男系の天皇ということになります。
 逆に、
②.「女系」というのは、母親だけをたどって行けば天皇に繋がることです。
 そして、
③.「正しい意味での双系」というのは、父親と母親の双方(and)で天皇に繋がることをいいます。
 したがって、
④.時には父親、時には母親と、たどる系統を替えなければ天皇に繋がらない場合は、「系」という概念で語ることはできないのです。ところが、片方(or)でしか繋がらないものを「双系」と呼び、しかも、過去にそのような例があったかのような偽りを主張する人々がいるために、それをいうなら「雑系」だ、という批判が出てくるわけです(このような「雑系」は、過去に例がないわけですから、皇統を雑系と呼んで貶めているなどという批判は、見当はずれの言いがかりにすぎません)。

 男系維持を主張する人々が守るべきであると考えているのは、①の意味での男系であり、この定義から外れた天皇はこれまで一人もおられません。
 天智天皇は舒明天皇を父親とする男系の男性天皇であり、元正天皇は父親が草壁皇子、父方の祖父が天武天皇という男系の女性天皇です。
 『日本書紀』や『続日本紀』は、事実をねじ曲げて、あたかも男系で繋がっている「かのように」書いているのではなく、事実として、両天皇とも男系に属し、そのように当時も認識されていたからこそ、皇位継承資格を認められて、皇位に就くことができた、という極々当たり前のことを淡々と記述しているにすぎません。
by nitta_hitoshi | 2010-06-08 06:25 | 小林よしのりさん批判