新田均のコラムブログです


by nitta_hitoshi
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 そこに注目しないで彼の議論に付き合うことは、鏡の歪みをそのままにしておいて、映し出された像を修正しようとするに等しい。そこで、本稿においては、彼の議論を歪ませる原因となっている方法論に内在する問題を、彼の「語り」を具体的に取り上げながら吟味し、読者の目から隠されてしまっている事実を一つ一つ明らかにしていく。
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by nitta_hitoshi | 2013-01-31 16:08 | 英訳原文
一、本稿の観点と方法論

 本稿における吟味の焦点はブリーン教授の方法論に当てる。私の見るところ、彼はまず対象とする事柄をざっと眺めて直感的に自らが最も重要だと考える事件とそれに対する評価を定め、次にその結論を正当化するために必要な理論と事例をあつめて論文を組み立てている。予め仮説を立てるのは研究者なら誰でも行うことだが、彼の場合に問題なのは、自分の結論とは齟齬するような理論や事例に正面から取り組むことを避けて、つまみ食い的に用いたり、隠したり、無視したり、書き換えたりすることで、やっかいな論証を省略し、結局、自らが靖国神社を批判する際に問題とした「記憶の選択」を自分自身も行ってしまっていることである。
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by nitta_hitoshi | 2013-01-31 00:58 | 英訳原文
はじめに

  国際日本文化研究センター教授のジョン・ブリーン氏が『儀礼と権力ー天皇の明治維新』(平凡社選書、平成二三年八月、以下書名のない頁記述は基本的に同書)を上梓された。ブリーン教授が平成七年から二十一年までの間に執筆した近代の天皇と神社に関する八本の論文をまとめたものである。

序章と第一章から第三章では、儀礼論的見地から、明治二年の明治天皇の伊勢参宮、文久三年の将軍家茂の上洛と孝明天皇への拝謁、慶応四年の誓祭儀礼(いわゆる「五カ条の御誓文」)、明治天皇が行った外交上の儀礼などに焦点を当て、儀礼の権力関係への影響を考察している。

第四章から第六章では、「天皇との関係によって新たに意味づけられる近代初期の神道、近代の神社を取り上げる」(一八頁)として、神仏分離、大国隆正の天主教観、日吉神社の山王祭が論じられている。

そして、最後の補論では、靖国神社を「記憶の場」として捉え、そこで語られる歴史は「きわめて偏った、歪曲されたものである」(二六四頁)と主張している。本稿はこのブリーン教授の著書の吟味を目的とする。
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by nitta_hitoshi | 2013-01-29 20:54 | 英訳原文
 最近、痛切に、自分の論文を英訳することの必要性を感じるようになりました。それは、海外では依然として、私が研究している日本史、特に近現代史について、ゆがめられた議論が横行していることを認識させられたからです。その主な原因は二つだと思います。

 一つは、先の大戦中および日本占領中に生み出された日本の近現代史に対する先入観です。この先入観は、戦勝国民には疑いようのない真実そのものに見えています。それは、戦後世界の枠組みの基礎をなしている基本的な歴史観の一部となっています。したがって、この枠組みの外に出て、日本の近現代史を自由に問い、研究し、答えることは大変困難なのです。

 もう一つの原因は、英文で業績を発表していない研究者については、その最近の業績が、日本語を解しない外国の人々には正しく伝えられていないということです。 このような学問状況も元はと言えば、前述の枠組みにあると思われます。近現代を研究する外国人の多くは、前述の先入観にとらわれています。英語を駆使できる日本人の多くも同じ状況にあります。したがって、日本語を解しない外国人が入手する情報のほとんどは、彼らがもっている枠組みによって歪められてしまっているわけです。たとえば、その枠組みと相いれない理論や事実は、無視されたり、歪曲されたりして伝わっているわけです。

 どうしたらこの状況を一変できるのかはわかりません。ただ、近代神道を中心とした私の論文を翻訳してインターネットに載せれば、日本研究の最近の業績の一部を、日本語を解しない外国人にも知ってもらえることにはなると思います。その結果、彼らが日本について考える際に、これまでとは異なった視点をもってくれるようになれば、状況が変わる切っ掛けくらいにはなるのではないかと思います。

 そういうわけで、英文ブログを新たに開設しました。そこと外部リンクを張って、このブログには、原文を掲載することにします。
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by nitta_hitoshi | 2013-01-29 00:12 | お知らせ