新田均のコラムブログです


by nitta_hitoshi
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一部の浄土真宗僧侶が靖国神社に反対するわけ(2)

平成14年11月1日『やすくに』

「基幹運動」とは何か

 それでは、そもそも「西本願寺」の「基幹運動」とは何かということだが、平成十年度の「基幹運動計画」では、その理念が次のように説明されている。

「私たちの教団は同朋教団という旗を掲げながらも、部落差別を初めとする社会の差別構造を教団自身に反映して、自らの持つ差別性をいまだ克服し得ず、また、戦争・ヤスクニ・人権・環境などの平和や社会の問題にも消極的なあり方をしています。(中略)/基幹運動(門信徒会運動・同朋運動)は、このような社会と教団のあり方に目をそむけることなく、教団の中のさまざまな活動を一つひとつ点検して、自らと教団の差別の現実を改め、積極的に社会の問題に取り組み、御同朋の社会の実現に努める運動です。」

 これによれば、「基幹運動」というのは、どうやら、部落問題を核とした「反差別を掲げる社会改革運動」というのが中心課題のようだ。何故、浄土真宗がそんなに同和問題を重視しなければならないのかというと、被差別民の八割が東西両本願寺に属しており、さらにその八割が西本願寺に属しているという現実があるからだという。その人々を導いて差別の解消に努力してきたのなら問題にはならず、むしろ、栄光の歴史として記録されたのだろうが、実際には、「西本願寺」は教団自身が被差別民に差別戒名をつけるなどの行為によって、かつては差別の主体として働いていたという歴史を持っており、ここが宗門のアキレス腱となっているのである。

 そして、この反差別の社会運動たる「基幹運動」の中に反「ヤスクニ」闘争も含められているのである。「基幹運動」の重点項目の四番目には「戦争・ヤスクニの事実に学び、平和を尊ぶ仏教の精神を身につけよう」とある。このような項目を掲げる理由については、「靖国問題は私たちの日常生活の中にある『慰霊鎮魂・英霊賛美』の体質の問題でもあります。それを私たちの内にある『ヤスクニ』と捉え、課題としたのが片仮名で表記した意図であります」と説明されている。靖國神社の問題は、浄土真宗の信仰とは異なった神社についての問題、真宗の外側にある問題なのではなくて、自分たちの信仰の中にある慰霊・鎮魂という感覚そのものに由来しており、それを払拭しなければならないというのだ。

 真宗に詳しい人の話によると、真宗は戦後間もないころから東も西も民俗宗教の否定を掲げ、門徒の中に根強い先祖崇拝の否定に躍起になってきたという。これが「基幹運動」のもう一つの側面で、自らの宗門の中にある民俗信仰的な部分を「神道」であると見なし、それを払拭するために、ことさらに靖國神社を目の敵にしているらしいのである。(つづく)
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by nitta_hitoshi | 2007-10-23 11:41 | 雑誌