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新田均のコラムブログです


by nitta_hitoshi
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提案あり! 首相の靖国参拝に賛成 中韓に迎合するな(平成13年8月14日)

[平成13年8月、毎日新聞社の玉置氏から、「言」という蘭に、首相の靖国神社参拝を支持する立場で意見を書いてほしいとの依頼があった。この時、毎日新聞社も小泉首相は公約通り8月15日に参拝すると見ており、そこでまず反対意見を8月7日に掲載し、賛成意見を8月14日に掲載するとのことだった。その説明通り8月7日の「言」の蘭には、弁護士の井上二郎氏の「異議あり!首相の靖国参拝 市民への冒とくだ」という反対意見が掲載された。ところが、私の意見は校正ゲラが8月10日に送られてきていたもかかわらず掲載されなかった。首相が8月13日に参拝してしまったからである。以下の文章は、その時の幻の「毎日新聞」掲載記事である]


 政権の交代が国民の意思に基づいて行われ、政権を去った権力者が身の危険を感ずることがないという状態は、民主主義の基礎である。この観点からすると、小泉首相の靖国神社参拝に反対している韓国は、民主主義国となってからまだ日が浅い国であり、中国は未だに民主主義国とは言えそうもない国だ。

 このような国にあっては、過去に対する評価と現政権の正当化とは、切っても切れない関係にある。したがって、政権の正当化という国内的な要請から、かの国々が日本の首相の行動に注文をつけるのは、ある意味では理解できる。しかし、だからといって、国家主権と文化の多様性とを尊重する民主主義国・日本が、そのような国々の都合に迎合しなければならない理由はない。

 振り返ってみれば、日本の民主化への歩みは古く、その歴史は明治維新後に徳川慶喜を処刑しなかった時にさかのぼる。そこから平和な政権交代の歴史がはじまり、次第に民意が国政に反映されるようになり、様々な紆余曲折を経て、歴史評価と現政権との間にも距離がおかれるようになった。

 特に、戦前と戦後とでは、戦争というもの対する評価が大きく変化したが、それでも公のために殉じた人々を祀る施設が維持され、その施設に多くの公人が参拝し続けきたという事実は、そうした日本の民主化の象徴だったと言えるだろう。

 言うまでもないことだが、民主主義国の国民には、自分とは異なる意見があちこちに存在するという不快さに堪えられるだけの強靭な精神的忍耐力が必要とされる。そうでなければ、民主主義に名を借りた強圧的な全体主義が横行するだけだ。「私はあなたの考えには反対だが、あなたが自分の考えを表明することを妨げる者がいたら、私は断固としてあなたを擁護する」。これこそ民主国民の基本的な態度であるべきだ。

 これはまた、相互尊重を基軸とする国家間の「民主的な外交」にも必要な態度だろう。そういう意味で、小泉首相の靖国神社参拝は、韓国や中国に国際的な民主主義を学習してもらうまたとない機会となるではないか。さらに、国家主権の重要性や国益の本質を認識できていない田中眞紀子外務大臣に、自分はどこの国の閣僚で、どこの国の国益を護らなければならないのかをしっかりと認識してもらう勉強の機会ともなるであろう。

新田均 皇學館大学助教授
by nitta_hitoshi | 2007-01-10 08:40 | 不掲載・未発表