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新田均のコラムブログです


by nitta_hitoshi
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揺らぎ始めた“日教組王国”(2)(『正論』平成12年2月号)


 教育委員会はどこまで本気で取り組むのか。


 不正出張を正すのは当然すぎるほど当然である。これは労働慣行だ、などという言い訳は通用しない。「一回の詐欺は犯罪だが、常習なら犯罪ではない。一人の万引きは犯罪だが、集団万引きは犯罪ではない」と言っているのと同じで、不正はいくら積み上げても不正なのだ。
中林教育長の行動は素早かった。早くも十一月二十四日に県立学校長・各教育事務所長・市町村等教育委員会教育長に対して、次のような文書を出した。

〈勤務評定の適正化と教職員の服務規律の確保について(通知)〉
 このことについては、かねてから注意を喚起しているところですが、学校職員の勤務成績の評定及び勤務時間における職務専念義務について不適切な実態があるとの指摘があります。学校に対する県民の関心がますます高まるなか、かかる実態が過去からの慣行により行われている場合には、早急に是正を図り、県民の期待に応える必要があります。貴職におかれては、下記事項により、勤務評定の適正化と教職員の服務規律の確保を図られるよう通知します。なお、市町村等教育委員会にあっては、このことについて貴管内各学校長にその趣旨の徹底を図られるよう願います。

 1、勤務評定の実施にあたっては「三重県市町村立学校職員の勤務成績の評定に関する規則」「三重県立学校職員の評定に関する規則」に則り、適正に行うこと。
 2、職員は、勤務時間中は職務に専念しなければならないものであること。なお、勤務につかない場合には、事前に適切な手続きをとること。

 確かに、教育長の対応の早さは評価できる。しかし、内容は至極平凡、しかも、新聞では「通達」とあったものが、実際には「通知」(罰則がない)に格下げされている。ただ、そうはいっても、三教組にとって、この通知はやはり「寝耳に水」だったのでないか。なにしろ、彼らは今年の六月にこんな文書を出していたのである(「津市情報公開条例」に基づいて入手)。

一九九九年六月二九日
津市教育委員会教育長 田中 彌様
三重県教職員組合津支部 執行委員長 池田淳二
〈一九九九年度「勤務評定」に関する要望〉
表題の件につき、下記のように要望します。

1、勤務評定を廃止すること
2、勤務評定を廃止できない場合、次の点につき、周知徹底をはかること
①評定は、オールBとすること。
②記述事項(特記事項、性格、所見等)は、斜線引きとすること。
③指導を受ける方法(形態)に際して
○本人を含む複数指導(公開)とすること
○分会長を中心とした複数の組合員に一覧表を公開すること
④勤務評定の提出にあたって、各市町村教委からの提出は最終日とすること
⑤一二月一日、二月一日実施の勤務評定についても同様とすること

 これまで、組合によって如何に勤務評定が骨抜きにされてきたのかを、この文書は如実に物語っている。それにしても、①が全県的に行われていることはすでに周知の事実である。それでは、②③④⑤はどうなのか。「分会長を中心とした複数の組合員に一覧表を公開すること」との要求まで呑んでいたとすれば、「勤務評定の実質的作成者は組合員」ということになる。(つづく)
by nitta_hitoshi | 2006-09-27 09:02 | 雑誌