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新田均のコラムブログです


by nitta_hitoshi
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女系天皇論の非論理性・非歴史性・非倫理性(2)

 皇統をめぐる議論で残念だったのは、女系天皇実現に固執する学者の方々が、自分の結論の宣伝を第一義とされて、学問的な議論の作法を無視されたことです。私が考える学問的な議論の作法とは次の三点です。

①他人の説や史料を引用する場合、自分の都合のよい部分だけを紹介して、都合の悪い部分は隠すという手法はとらない。また、少なくとも、依拠する史料については一通り全体に目を通し、調査・検討ないし研究してから主張を公表する。

②反論や反証を提出された場合には、どんなに答えにくい議論であっても、無視したりせずに誠実に答える。他人に代弁してもらうというような姑息な方法はとらない。

③結論(女系天皇の肯定)を同じくする人の議論であっても、見解が相違する部分については、その違いを認め、相異の理由を明確にする。

 この三点から、女系天皇の実現に固執されている方々の議論を、これから吟味していきたいと思います。

 この吟味の結果、女系天皇論には「歴史的」な根拠・正統性はなく、ただ現状分析と未来予想に基づく正当化があるだけ、であることが明らかになると思います。したがって、女系天皇を容認する方々が学者であるとするならば、歴史学者ではなく、現状学者か、未来学者であるということになります。

 そして、わたしは、それらの方々が、皇室を思う衷情から、歴史学者の立場をかなぐり捨てて、現状学者や未来学者になられる決断をされたことまで批判するつもりはありません。また、「未来永劫、皇室を安泰にするためには、歴史や伝統こだわるべきではない」と正直に言われるのであれば、その倫理性まで問題にしようとは思いません。ただ、「歴史学者や歴史研究家という肩書きを使って、歴史学を装って、歴史からは正当化できないことを、あたかも正当化できるかのように見せかけることはやめていただきたい」と思っているだけです。
by nitta_hitoshi | 2012-05-04 17:32 | 女系天皇(主に高森さんへの問い)