新田均のコラムブログです


by nitta_hitoshi
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小林よしのり氏“公認”「ゴーマニスト」宣言(128)

◎これがゴーマニストの終わり方、劇的ではなく、情けなく終わる。 

「権威に媚びリスト」「大家に頼リスト」になってしまった小林よしのりさんは、田中卓先生の権威に目が眩んで、その言葉を検証しようとする姿勢が皆無だと前回書きましたが、その例をもう一つ指摘しておきます。

 小林さんは、田中先生が用いた言葉「萬葉一統」を押しいただいて「考えてみれば、右も左も明治以降に使われたにすぎない「万世一系」という言葉に縛られ続けてきたのではないだろうか?」(『サピオ』11月24日号68頁)「皇統は「萬葉一統」である」(同69頁)と書いています。

 田中先生によれば、「万世一系」は「明治になってから」「岩倉具視あたりが使うんじゃないか」ということで、「これは遡れば幕末、文政9年の『國史略』の序文の「正統一系」が元じゃないかと私は見ています」(同67頁)とのことです。
 ちなみに、文政9年=1826年は、まだ「幕末」ではないでしょう。「幕末」は嘉永6年(1853年)のペリー来航以降というのが常識的な見方です。
 それはともかく、田中先生によれば「万世一系」は1826年以降の概念ということになります。

 それでは、「萬葉一統」の方はどうかといえば、吉田松陰の「士規七則」の中で「日本の特徴を述べた所に出てくる」(同67頁)言葉だそうです。ところで、「士規七則」は安政2年(1855年)の著作です。ということは、まさに「幕末」、しかも吉田松陰は尊皇の志士であっても「国史の専門家」ではありません。

 田中先生の説明を受けて、小林さんは「もともと「万世一系」などという細い糸のような血筋で繋がってきたのではないことは当たり前のこと。本当は「萬葉一統」、皇統に属する者であれば、女系も傍系も含めて、「帯」のような幅で繋がってきたと考える方が自然である」(同68頁)と書いていますが、そうのように主張するのであれば、少なくとも以下の三点について検証する必要があります。

①.どうして、1855年以降の言葉で、1826年以来の概念が否定できるのか?

②.どうして、1855年以降の言葉が、古代以来の皇位継承の原則を正しく言い表していると言えるのか?

③.田中先生の「萬葉一統」解釈が松陰の考えを正確に捉えていると証明できる文献が他にあるのか?

 これらの検証を経ないで、ただ田中先生の説をそのまま公表している小林さんの姿勢から伝わってくるメッセージは「田中先生という権威がおっしゃるのだから間違いない。検証の必要などない」ということです。
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by nitta_hitoshi | 2010-11-17 05:36 | 小林よしのりさん批判